
●ロボットという概念が大きく変わろうとしている〔AFPBB News〕
『
2014.03.31(月) The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40317
技術の新たな役割:ロボットの台頭
(英エコノミスト誌 2014年3月29日号)
ロボットの侵略に備えよ。
ロボットはいずれ、技術に対する人々の考え方を変えるだろう。
ロボットがこの世に登場したのは、20世紀初めのことだ。
自動車や電話、飛行機が向こう見ずなジャズ・エイジのスピードに乗って急速に進歩していた当時、ロボットは、作家や映画製作者が技術というものに対する希望や恐れを掘り下げるための文学上の装置だった。
フリッツ・ラングの『メトロポリス』やアイザック・アシモフの『われはロボット』から、映画『ウォーリー』や『ターミネーター』、そしてその間に生み出された無数の同種の作品は、その役割を見事に果たしてきた。
ページ上やスクリーン上から現実の世界へ移ってからのロボットは、やや期待外れのものだった。
確かにロボットたちは、火星探査などの人間にはできないいくつかの仕事と、不発弾処理や床の掃除といった人間があまりしたがらない多くの仕事をこなしている(約1000万台ものロボット掃除機が世界中の絨毯の上を動き回っている)。
ロボットは製造業の各所でも大いに役に立っている。
だが、信頼性の高いロボット――特に工場の安全ケージの外で働く必要のあるロボット――を作るのは、簡単ではないことが分かっている。
そのうえ、ロボットはまだ、かなり頭が悪い。
従ってロボットは、人々を魅了してはいるものの、まだ世界に大きな足跡を残してはいない。
だが、その状況も変わりそうな兆しが見えている。
シリコンチップやデジタルセンサー、広帯域通信の性能の急激な進歩が、ほかのあらゆる製品と同様、ロボットも進化させている。
それに加えて、今週の本誌(英エコノミスト)の特集でも触れているように、さらに3つの要因が働いている。
★.1つ目は、ロボット工学分野の研究開発が容易になっていることだ。
新たな共通規格のおかげで、優れたアイデアを別のロボットプラットフォームへ簡単に移植できるようになった。
また、ノウハウの蓄積により、そうしたプラットフォームの構築にかかる費用も以前よりずっと安価になっている。
米リシンク・ロボティクスの「バクスター」は、2本の腕と極めてシンプルで直観的なプログラミングインターフェースを備えたロボットだ。
このようなロボットは、10年前ならほとんど想像もできなかっただろう。
いまや、2万5000ドルでこのロボットを買うことができる。
■C3 IPO
★.第2の要因は、投資だ。
2013年最大のロボット関連ニュースは、米グーグルが、ロボット分野の有望な新興企業8社を買収したことだ。
潤沢な資金と優れたリーダー(モバイル基本ソフト「Android=アンドロイド」の生みの親であるアンディ・ルービン氏)を擁し、クラウドコンピューティングと人工知能という、いずれもロボットと極めて関連性が高い最先端の専門技術を利用できるグーグルのロボットプログラムは、目を見張るような何かが生まれる可能性を約束している。
もっとも、同社の外には、それがどんなものになるかを知る者は誰もいない。
米アマゾンもロボットに投資している。
倉庫内作業を自動化しているほか、こちらはより投機的だが、無人飛行機(ドローン)による配送も計画している。

●米アマゾンは無人飛行機(ドローン)による配送も計画している〔AFPBB News〕
韓国をはじめ世界各地の企業も、ロボット技術を製造の新分野に導入し、サービス分野にも目を向けている。
ベンチャーキャピタルがロボット関連新興企業から利益を上げるチャンスは、以前よりもずっと大きくなっている。
★.第3の要因は、想像力だ。
ここ数年で、頭の回る企業が、映画撮影でカメラ台の操作係や照明係として働くロボットや(カメラや照明を動かすロボットがなければ、『ゼロ・グラビティ』は撮影できなかっただろう)、太陽光発電所のパネルを設置するロボットを作る方法を編み出してきた。
今後はさらに多くの人が、高精度、高速反応、自律運動といったロボットの特性を収益性のあるビジネスに組み込む方法を会得していく。
最終的には、大衆市場を構築する者も出てくるはずだ。
その点では、飛行ロボットのドローンが先駆けになるかもしれない。
ドローンはいずれ、農作業の新たな形態を生み出し、大小様々なイベントで一般市民やジャーナリスト、放送局に新たな視点を提供し、交通や火災を監視し、補修が必要なインフラを探し、それ以外にも多くの仕事をこなすようになるだろう。
消費者や一般市民という観点で見れば、人々はロボットの進歩により大きな恩恵を受けるだろう。
だが、労働者という観点では、恩恵はそれほど明確ではない。
なぜなら、ロボットの能力が高くなれば、人間による一部の労働が不要になる可能性があるからだ。
例えば、米エイソンの「タグ」は、病院で使われるワゴンを必要な場所へ移動させるロボットで、現在、用務員が行っている仕事の大半を奪おうとしている。
アマゾンは、買収したキバ・システムズの倉庫作業用ロボットで、これまでよりも少ない作業員で多くの商品を発送できるようになる。
無人自動車は、現在ハンドルを握っている無数の労働者に取って代わるかもしれない。
近代以前にはほぼすべての仕事を提供していた農業分野の雇用が、現在では先進国の雇用のわずか2%を占めるにすぎないのと同じように、
現在の製造およびサービス業界の雇用も、ロボットの躍進で縮小を余儀なくされるかもしれない。
人類が新たな労働力の使い道を見つけるのか、あるいは未来は強制的な余暇に明け渡されるのか。
その点については、経済学者の間で、懸念を大いにはらんだ議論が交わされている。
いずれにせよ、称賛も非難も、ロボットが受けることになるだろう。
■目に見えないものと見えるもの
ロボット技術の優れた力は、ある程度までは当たり前のものになるはずだ。
車が自動運転されたり、床が勝手に掃除されたり、補給品が病院やオフィスを動き回ったりするのは、ごく自然なことになる。
そうした作業の基盤となるロボット技術は、ロボットという形では人の目にはつかないだろう。
だが、ロボットはいずれ、無機質な環境に動きを与えるだけでなく、仕える相手とともにそうした環境に暮らし、あらゆるニーズを満たすようになる。
バクスターのようなロボットは、モノを作ったり運んだりする手助けができるし、介護をしたり、安らぎのため、あるいは話し相手となるだけのロボットも出てくるだろう。
日本製の赤ちゃんアザラシ型ロボットは、撫でると嬉しそうな反応を見せ、人の声を聞き分ける機能を持ち、高齢の認知症患者の役に立つと見られている。
ロボットが目に見えるようになればなるほど、人類は、フィクションで最初に提示された類の疑問を議論するようになるだろう。
どんな戦争も、人間が戦わなければならないのか?
同情を抱き、寛大さを示すことができると同時に、戦術上のあらゆる必要性を超えるほど残酷にもなれる人間は、戦争に必要なのだろうか(既に米国では、ドローンを遠隔操作する操縦士が勲章に値するか否かという議論が起こっている)?
人生の最期に感じる優しさが、機械によって与えられたものでもかまわないのか?
ほとんどの、あるいはすべての人間の労働が無用になったら、人間の努力の尊厳をどう保てばいいのか?
技術の進歩の究極的なゴールを、個人や企業や政府が抽象的に議論するのは難しいものだ。
アシモフら優れた洞察力の持ち主は、そうした疑問は、技術が擬人化され、その顔が見えるようになれば、問いかけやすくなることを見抜いていた。
ロボットは労働者やパートナーとして機能するだけでなく、ちょうど故郷の惑星を外から眺める宇宙旅行者のように、新たな視点の提供者にもなる。
とりわけ人間が、理解に近い何かを湛えてこちらを見返すロボットを目にする時には、新たな視点が生まれるはずだ。
そしてその時は、いつかきっと訪れるだろう。
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英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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