
●考古学的発見「ムンゴマン」
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International Business Times 2014年3月10日 14時44分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/55345/20140310/151123/page1.htm
オーストラリアの歴史を変えた考古学的発見「ムンゴマン」、現地の声
この記事は、シドニーの西700キロのムンゴ湖で発見された人骨についての物語である。
現在のムンゴ湖は本当の湖ではなく、砂の乾燥地帯である。
しかし、2万年前までは、魚や水鳥の繁殖するラグーンだった。
アボリジニーにとって狩りがしやすく、資源も豊富な場所だった。
当時の人間は巨大カンガルー、大きなウォンバット、巨大な鳥であるエミュと土地をシェアしていた。
パーカンジ(Paakantji)系のアボリジニーのグラハム・クラーク(Graham Clarke)氏は、ムンゴ湖のガイドをしている。
同氏は、
「私たちのすぐ足の下に人間が埋葬されている確率は90%です。
化石化したユーカリの木が発見されることもあります」
と砂の上を歩きながら、オーストラリアの歴史について説明した。
遺物は、砂の動きによって、消えたり現われたりするという。
同氏は
「あなたに別の物語を教えましょう。
私はあなたにコインの反対側を見せたいのです。
なぜならば、人々はコインの片側だけを見ながら成長し、決して反対側の視点をみる時間を作りません」
と語る。
同氏は、天気について描写をしながら、科学と夢を混ぜて語ってくれた。
時間理論を説明し、「人類のアフリカ起源説は、冗談に過ぎません」と述べた。
同氏は、子どもの頃、母親から聞いた話を教えてくれた。
同氏の母は、
「考古学者たちは、自分たちが優れていることを示したり、業績を作ったりするために大きなことを言うものだ。
彼らは歴史を作り、それを利益のために売る。
しかし、私たちの先祖は、この土地に数千年間いた」
と話していたという。
ムンゴマン(Mungo Man)が発見されたのは、ちょうど40年前だった。
地質学者であるジム・ボウラー(Jim Bowler)氏が、ムンゴ湖で骨を一式発見した。
(最も、アボリジニーの人々がよく知っているものだった。彼らはオーストラリア大陸に数えられないくらい長い期間暮らしている。)
ボウラー氏がムンゴ・マンを発見する前は、アボリジニーは約2万年前にアジアからオーストラリアに来たというのが定説だった。
ムンゴマンの発見は、少なくともその歴史を2万年長くした。
そして、儀式的な埋葬から、洗練された文化がアフリカから離れた土地で展開されていたことが証明された。
その後、さらなる考古学的な発見により、ムンゴ湖周辺では5万年前に人が住んでいたことがわかった。
ムンゴ湖は、先史時代における人間の進化を理解するための、重要な考古学的スポットのひとつになった。
しかし、ムンゴマンが発見されてから40年間、アボリジニーたちは、不本意な時期を過ごしている。
現在、ムンゴマンは、オーストラリア国立大学のロッカーに収納されている。
科学者たちは、ムンゴマンの研究を10年以上前に止めている
現在80代になるボウラー氏は、メルボルンにある自身のアパートメントで
「骨は40年以上、オーストラリア国立大学に保管されています。
40年は長い期間です。
科学者として、私は骨がムンゴに返されるときだと考えます」
と語った。
ボウラー氏が研究をムンゴ湖で始めたとき、その場所に住んでいるアボリジニーはいなかった。
彼らは、数十年前に制度的に移住させられていた。
つまり、ムンゴマンと、ムンゴマンよりも少し若い女性であるムンゴレディーは、伝統的な所有者が知ることなく、その地から持ち去られた。
ボウラー氏は、
「ムンゴマンのことが報じられたとき、気分を害したアボリジニーもいました。
ある年配のアボリジニーは、私に『あなたがムンゴマンとムンゴレディーを発見したのではありません。
彼らがあなたを発見したのです』と言いました。
それを聞いたとき、私は骨を丁重に扱わなければならないと思いました」
と当時を振り返る。
ムンゴマンは、アボリジニーたちの権利運動が盛んになった初期のころに発見された。
アボリジニーの活動家はすぐにその発見をスローガンに取り込み、「私たちはここに4万年以上いる」と書いたTシャツを作った。
これは、1970年代の権利運動の呪文のひとつとなった。
ムンゴ湖のガイドであるクラーク氏は、かなり頻繁に現地を訪れる人物のひとりである。
しかし、同氏は、何かを発見したとしても、その新発見について話さない。
ときには目印を残すこともある。
しかし、ほとんどの場合、ただ通り過ぎ、骨を砂に還す。
考古学者からみれば、データを放置することは考えられないことである。
しかしクラーク氏は、ムンゴの骨たちが安らかであることを好む。
分析は必要ない。
ラベルもいらない。
40年間、大学に保管されることもいらない。
ちなみに、ムンゴ湖には、盗掘の問題もある。
最近、ラ・トローブ大学が実験として、ニセの遺物を砂に埋めた。
すると2週間後、ほとんどの偽物の骨が消えていたという。
記者:Mark Johanson、翻訳者:臼村さおり |
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。
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wikipediaから
ムンゴマン(Mungo Man, Lake Mungo 3)はオーストラリアニューサウスウェールズ州のムンゴ湖畔で、1974年に発見された、約4万年前(更新世)に生きた人類の化石。
その年代については議論が残るが、現在のところオーストラリアで発見された最古の現生人類の化石とされる。
近年のミトコンドリアDNAを用いた分析の進歩により、人類進化のアフリカ単一起源説に対する新たな情報を提供しうる発見として注目された。
1974年2月26日、ウィランドラ湖地区(世界複合遺産)の一部であり、ムンゴ国立公園に属する乾燥湖ムンゴ湖畔地域の砂丘の移動によって露出された事により発見された。
発見された時、その表面には顔料の一種でもある赤オーカー(鉄分を含み、赤く黄ばんだ粘土)が振りかけられた様に存在していた。
これは人類の最初期の洗練され装飾的な埋葬の儀式を物語ると考えられている。
この発見はこれまで考えられていたより遥かに前から、ある種の文化的伝統がオーストラリア大陸に存在したことを示し、特にこの地に先住してきたと考えられ、そのルーツとの関連で注目されるアボリジナル・オーストラリア人において意味があったとされる。
儀式的に葬られた遺骸としては世界最古の例である。
また近くで発見された、人類最古の火葬をされたとされる「ムンゴレディ」はムンゴマンとほとんど同時代の人類と考えられている。
発見者のメルボルン大学教授は、ムンゴマンは42,000年前に埋葬されたとみている。
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